パリプチ歩記

  • イメージ1
  • パリは「街自体が美術館」という言葉をモットーに、
    パリ在住の・・・
    街歩きに余念のない「パリが恋人」のともこと
      食に恐ろしく敏感な舌を持つ「歩くグルメ本」のちあき

         ・・・この2人がみなさんにパリの魅力をご紹介!!

      「地区別パリの街歩き術」として、短い滞在を効率よく回る
      べく、とっておきの散策モデルを提案しま~す。

  • イメージ2
 

  

 1回目 サンジェルマン・デ・プレ (前編 サン・シュルピス界隈)

パリ市内地図 今回紹介するサン・ジェルマン・デ・プレは左岸の代表地区。
「人は右岸で消費し、左岸で考える」という名文句があるように、左岸にはソルボンヌを代表にパリの大学が点在し、出版社や画廊、書店も多い。
「カフェ文化」の発祥もここ左岸。サルトルやボーヴォワールといった著名な作家やモジニアニ、ピカソなどの画家が夜な夜な集まり、議論に花を咲かせたカフェがあちらこちらに点在し、今もなお観光客やパリジャンまでが集い賑わう。
そんなカフェのテラスに座り、スノッブを気取って芸術論でも語るのもいい。

そんな文化地区サン・ジェルマンにも異変が起こった。
地区の人々の反対にも耳を傾けず、最近では右岸のためのものだったルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオールなどの高級ブランド店が進出!!
左岸には縁遠かったハイソな部分が加わって、反対派スノッブには申し訳ないが、ショッピングの充実度がアップ。

さぁ、そんなサン・ジェルマンの街を早速散策してみよう。

<散策モデル>

左岸の6区
メトロの駅は4番線 サン・ジェルマン・デ・プレ St-Germain des Pres から始めよう!!

 10:00

カフェ・ド・マゴ カフェ文化の代表格 Les Deux Magots(レ・ドゥ・マゴ)で朝食を

これほど絵になるカフェも多くはないだろうと思う。石畳の広場、教会に面し、並木に囲まれ、そこに緑の庇が映える。夏にはパリの風物詩テラスも拡大し、世界から集まる観光客で賑わう「パリで一番有名なカフェ」。以前は中国シルクを扱う店だったけれども、19世紀にカフェへと生まれ変わった。テラスに座ったとしても、せっかくだから中を覗いてほしい。真ん中の柱に2体の中国人形が!これらは当時の名残。そして店名レ・ドゥ・マゴの由来でもある。さらに、文学カフェとしてドゥ・マゴ文学賞を設け、華やかな授賞式を開催するほか、文化イベントも盛んなアカデミック・カフェ。なるほど…文化人の出入りが多いのも頷ける。

  • さて、中国人形を眺めながらの店内か、またはパリの街並みを眺めながら過ごすテラス席に座るかはお好みで。サン・ジェルマン地区の散策は、このカフェの豪華朝食から始めたい。あなたの胃と相談をして、あまり空腹でなければカフェ・オ・レ(フランスではカフェ・クレーム Cafe Cremeというのが一般的)とクロワッサンを。

    たっぷりこのカフェの朝食を味わいたいならメニューでLe Petit dejeuner des Deux Magots(ル・プティ・デジュネ・デ・ドゥーマゴ)を。コーヒーかココアか紅茶、そしてオレンジかグレープフルーツのフレッシュジュースに、クロワッサンやチョコレートのデニッシュパン、そしてタルティーヌ(バゲットにバターやジャム、はちみつを塗る。)これで18ユーロなり。

    住所 6 Place Saint Germain des Pres 6区
    TEL 01-45-48-55-25
    営業時間 7:30~翌1:00
    休日 無休
  • 中国人形

 11:00

  • カフェ前のサン・ジェルマン・デ・プレ教会に入ろう

    元は大修道院だったもの。残念ながら、現在その面影はない。すっと天に向かって伸びる鐘楼は、パリ最古の11世紀のもの。ロマネスク様式が基本だけれども、17世紀に追加された交差リヴ(天井のアーチ)はゴシック様式。こぢんまりとしているうえ、程よい薄暗さがホッと落ち着かせてくれる。入り口から入って右側通路を歩き、奥周歩廊の手前に哲学者デカルトの墓銘板があるので、拝んで彼の明晰な頭脳にあやからない手はない。時折、クラシックコンサート(有料)が開催されるので、チャンスがあれば、雰囲気たっぷりの教会コンサートを聞いてほしい。
  • サンジェルマンデプレ教会

 11:15

ビュッシ市場 活気あふれるビュッシの市場へ

教会から市場までは教会の正門に向かって左手にあるド・ラベイ通りRue de l'Abbayeを歩こう。途中、左手に見える静かな美しい広場フルスタンベルグは映画「アパートメント(モニカ・ベルッチとヴァンソン・カッセル夫婦の出会いの映画)」にも登場している場所。広場の一角にはサン・シュルピス教会の壁画を描いたドラクロワのアトリエが記念館として公開されている。

  • 私(ともこ)の初めてのパリ体験、かれこれ10年以上も前に遡るけれども、「ガイドブック」なしの「行き当たりばったり」の旅だった。その時、「こんな街のど真ん中に、このような庶民的な市場が存在することに度肝を抜かれた!!」ことを鮮明に覚えている。それがビュッシ通りとセーヌ通りの市場。山積みの野菜や果物に群がるパリ市民を、ボーっと言葉にできない不思議な気持ち(そのアンバランスさに)で眺めたものだ。当時に比べるとずいぶん垢抜けて見えるのは錯覚ではない。センスの良い新しい店が次々と出来ているためだろう。

    パンのチェーン店「PAUL」もどんと構え、一流のシェフもファンも多い高級食材屋「ダ・ローザ」は最も注目したい店。ドカンとテーブルに並び、シューシーな赤身を披露する生ハムの美味しそうなこと。そのほかパン屋、チーズ屋、ワイン屋からスーパー、カフェにレストランまで狭く短い通りにびっしりと立ち並ぶ。
  • ビュッシ市場2

 12:30

「ダ・ヴィンチ・コード」の舞台となったサン・シュルピス教会

ダ・ローザのあるセーヌ通りrue de Seineを南へ、そのままサン・ジェルマン大通りBd.St-Germainを横切ろう。1本目を右に折れると、そこにはサン・ジェルマン市場がある。数年前に改装を終え、モダンな建築となり「市場」からはほど遠い。内部はファッションブティックと食品市場と半々になっている。教会に辿り着く前にちょっと覗いてみて!!

聖堂を横切る日時計を、実際は「ローズライン」とは言わないそうだ。とはいえ、ここサン・シュルピスは確かに映画の中に登場する。本、映画とも一世を風靡しただけに、ぜひぜひ訪れたい教会だ。話題性だけでなく、壮大で美しいこの教会は見ごたえ十分。ここ数年、工事に余念がなく、いつ訪れても一部分は見苦しい網に覆われているのは仕方ないとして、まず2つの塔の不調和に注目したい。右の塔が未完成となれば納得だ。確かに左の塔に比べて繊細さに欠ける。入ってすぐ右手、聖アンジュ(天使)の礼拝堂にはドラクロワによるフレスコ画。暗い堂内に、これまた暗い色彩の重量感たっぷりの作品は、幻想的かつ流動感にあふれ、威圧感を覚えるに違いない。向かって左側が有名な「ジャコブと天使の戦い」。

  • サンシュルピス広場

    フランスを代表する大女優カトリーヌ・ドヌーヴはこの広場に面したアパートに住んでいるとか。

  • サンシュルピス教会

      

  • 白

      

有名ブランドから日本の無印良品まで揃うショッピングストリート、サン・シュルピス通り

サン・シュルピス通りの紹介の前に、ちょっと補足を。この通りの西側をヴュー・コロンビエ通りrue du Vieux Colombierに入ると左手にHerve Chapelier(エルヴェ・シャプリエ)がある。色、種類の多さからも、ここのトートバッグの人気は抜群。そこからまた通りを東に歩こう。すぐに交差する通りがrue Bonaparte(ボナパルト通り)。左折すると、甘~い香りが漂ってくる。72番地がパティスリーのPierre Herme(ピエール・エルメ)。ちょっとここでスイーツを口に入れてショッピング開始!
サン・シュルピス通りに戻り、そこを東に歩くと、Yves St-Laurent Rive Gauche(イヴ・サン・ローラン)、Christian Lacroix(クリスチャン・ラクロワ)があり、教会を越えたところで、無印良品を扱うMUJIが道の両サイドに2店舗。パリでのMUJI人気が伺える。MUJIの手前、目の保養に品の良いインテリアショップ、Maison de Famille(メゾン・ド・ファミーユ)も覗いてほしい。そしてスパンコールのトートバッグ、女性的でフェミニンなカットソーやワンピースなどで知られるVanessa Bruno(ヴァネッサ・ブリューノ)、今年創業20年を迎える高級帽子専門店Marie Mercie(マリ・メルシエ)、そのまま1本通りRue de Seine(セーヌ通り)を越えてまだまだ進むと、左手に写真集の専門店La Chambre Claire(ラ・シャンブル・クレール)。写真マニアは必見。ジャン・ヌーヴェルをはじめとする有名な建築家がデザインした食器や雑貨などが揃うXanadou(ザナドゥ)、そして通りの左には美しいリネンの店Catherine Memmi(カトリーヌ・メミ)……。
個性派ブティック満載のサン・シュルピス通り。さて、どんな逸品が見つかるかしら?!

  • 白

      

  • MUJI

      

  • メゾンドファミーユ

      

 14:30

ジェラール・ミュロ リュクサンブール公園でピクニック

さぁ、ちょっと遅いけれどもブランチはリュクサンブール公園でピクニック。パリジャンに人気のジェラール・ミュロでお惣菜を買い込もう。

サン・シュルピス通りに交差する道、どれをっとっても南に歩けば広大なリュクサンブールに着くが、ジェラール・ミュロでお惣菜を買った後ならば、出口をまっすぐなだらかな坂道を上る。

ここからはグルメ担当ちあきさんにバトンタッチ!

ピクニックイメージ1 フランスの美食、ガストロノミーをフランス人並みに楽しもうと思ったら私たち日本人の胃袋では間に合いません。フランス人は元来肉食だからあごも頑丈であれば、胃袋も丈夫。腸も長ければ、アルコール分解を助ける酵素も豊富、体温だって日本人よりも高め。と、とにかく体力的には上回る要素がたくさん。でも、美食天国フランスに来て、それも短期間で彼らの食生活を同じレベルで堪能しようと思ったら、映画「スーパーサイズミー」のような巨漢になることの覚悟が必要!

フランスでは、食事は宗教とも言われるほどに個人生活のうえで大切なこと。でも、フランス人の全員が高級レストランで正式な食卓という訳ではなく、ビストロやブラッスリーで簡単にというのが現状。黒板に書かれたミミズが這った象形文字のようなメニューを解読するのは、やはりロゼッタストーンを解読したフランス人だからできることかもしれない。
フランスの料理は一皿一皿がすごいボリューム。軽食にしようとしても前菜がすでに、もう私たち日本人の胃袋にはメインコースのようなもの。毎日続くとやはり胃も疲れてくるし、大きくなってしまう心配も。でもせっかくフランスに来たんだもん、美食は楽しみたい、ほんのちょっとでもいいから味見してみたい、というのが旅行者の本音かもしれない。

ピクニックイメージ2 そんな時、私がお勧めしたいのは「惣菜屋 Traiteurトレイタリー」のお店を利用すること。日本のパック惣菜よりもうんと洗練されていて、そのままお皿に盛れば上品な一品に変身するのがフランスのお惣菜。最も小さく適当だし、一人旅でレストランに入る元気がないときはこれに限る。
例えば、今回私達が行ったジェラール・ミュロの店なんて「私だけのレストラン気分」が十分に味わえるだけの食材が勢ぞろい。前菜もメインもデザートからワインまで、この店でフルコースが揃えられる。キッチン付きホテルなんかに宿泊していたらここで揃えてホームパーティもよし。天気が良くてリュクサンブール公園などを散歩する時間があるなら、ぜひここでピクニック準備をしてみてはいかがでしょうか。

日本のお惣菜屋が家庭的な雰囲気を醸し出すのに対し、フランスのお惣菜屋は高級レストランの一品を手軽に楽しめるという雰囲気になっています。これだったら、メニューが読めなくても思いっきり「高級フレンチ」を味わえます。どうでしょう、次回のパリ滞在ではレストランとこの「お惣菜屋」を交互に利用してみては。フランスの食文化がまたひとつ身近なものに感じられるかもしれません。

リュクサンブール公園は、17世紀のマリー・ド・メディシスの時代の賜物だが、その歴史に感謝するのは、何よりも左岸に住むパリジャンだろう。何せ、彼らのオアシスとして大活躍だからだ。太陽が出ている夏だけでなく、グレーの空が広がる寒い冬でも、この公園を愛する人々の散策する姿が見られる。そのうえ、注目したいのは、公園の至るところに立つ彫刻。歴代の王、王妃のみならず、フランスを代表する芸術家であるジョルジュ・サンド、ヴェルレーヌ、ボードレーヌを含め、相当数あり見ごたえ満点。「自由の女神」もあるのでぜひ探してほしい。屋外コンサートも開かれれば、マリオット劇場もあり、宮殿の一部は美術館である。フランス人は文化事情の開拓に長けている、と思わずにはいられない。リュクサンブール公園は、その彼らの力量を見せつけられる公共施設の代表のひとつ。

  • ピクニックイメージ3

      

  • ピクニックイメージ4

      

  • 白

      

この地区お勧めのプチホテル

  • Relais Saint-Sulpice
    ルレ・サン・シュルピス

    サン・シュルピス教会裏手に位置するメゾン風可愛いホテル。
    18世紀の個人の邸宅をホテルに改装したもの。なんとサウナ室もある。
    全26室
  • ルレサンシュルピス
サンジェルマンデプレ地図

ページトップへ戻る