パリプチ歩記

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  • パリは「街自体が美術館」という言葉をモットーに、
    パリ在住の・・・
    街歩きに余念のない「パリが恋人」のともこと
      食に恐ろしく敏感な舌を持つ「歩くグルメ本」のちあき

         ・・・この2人がみなさんにパリの魅力をご紹介!!

      「地区別パリの街歩き術」として、短い滞在を効率よく回る
      べく、とっておきの散策モデルを提案しま~す。

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 5回目 モンマルトル 前編

パリ市内 パリへ行きたい!と夢見ていた頃、なかでも私の憧れは「モンマルトル」に集中した。多くの書物に食いつきながら、想像の世界はどんどん広がり、まだ見ぬモンマルトルの丘に思いは募るばかりだった。10年前にパリを初めて訪れた時、私を迎えてくれたモンマルトルは、ノスタルジックなパリの雰囲気たっぷりで、私を感動させたものだった。2月の灰色のパリ。吐く息は白く、石畳の緩やかな坂道には、至るところに犬の糞が落ちていて、それを避けながら上りきると、丘の上に聳え立つ白亜のサクレ・クール寺院に遭遇する。私が大好きなフランソワ・トリュフォーの映画に頻繁に登場するローマ・ヴィザンチン様式のあれ!!!!だ。寺院の前に立つと、パリが一望でき、アパルトマンの古い煙突を眺めながら、パリにいる喜びに浸ったものだ。あ~はるか遠くの「日出づる国」より勇気を出して飛行機に乗ってきたかいがあったではないか!!
*飛行機を恐れていたため初の海外旅行はかなり遅いことを告白します・・・。

「トリュフォー」ファンの皆さん、そして「アメリ」ファンの皆さん、「絵画」ファンの皆さん、「シャンソニエ」ファンの皆さん・・・はじめすべての人に綴るモンマルトル散策のススメです。

 アクセス方法

モンマルトルの丘は、多くのメトロ駅に囲まれているため、目的に応じて下車する駅も異なる。サクレ・クール寺院突進派はメトロ2号線のAnversアンヴェール駅下車が一般的。「アメリ」のカフェの朝食から散策を始めるとしたら同じ2号線のBlancheブランシュ駅。寺院裏の住宅街から攻める場合は、12号線のLamarck Caulaincourtラマルク・コランクール駅下車といったところ。

 サクレ・クール寺院

衣類の格安ショップSympa 私は通常2号線のAnversアンヴェール駅で降りる。駅周辺に並ぶ衣類の格安ショップSympaサンパに入り、品定め。バザーといった雰囲気で大きなケースの中にいかにも安っぽい服が詰められていて、大げさに商品をかき混ぜながら、物色するのは楽しいもの。以前購入したKookaiのニット、穴がたくさん開いていたが、カラー糸で縫えばちょっとしたアクセントになってお洒落感が出たことを思い出す。

モンマルトルの階段 店が建ち並ぶ細い通りを上がると、目前に緑が広がり、急な丘のてっぺんに堂々と建つ麗しの寺院が見える。公園の手前、道の両側にカフェがあり、寺院に向かって右側のカフェのテラスは私のお気に入り。かなりの観光向けとはいえ、寺院を仰ぎながらくつろげる絶好のシチュエーションが魅力。公園内の階段を登りながら寺院に近づくのもいいし、公園左のケーブルカーを利用してもいい。さらに左にある長い階段にはいい感じの街灯が立ち、モンマルトルの風物詩にもなっている場所だ。

サクレクール寺院 寺院前の大階段にはいつも多くの人が座っていて、パリの街並みを眺めている。そのムードを盛り上げるのが、時にバンドのお兄さん演じるビートルズであったり、古いオルガンやアコーディオンを演奏するおじさんのフレンチ・シャンソンであったり、音楽に合わせてスイングしたり、ダイナミックに踊る人の姿まで見られる。開放的な雰囲気が「青春時代」を彷彿させるいいひと時・・・。

  • サクレクール寺院から眺めるパリ

    公園を登りきるとテラスが広がりここからパリが一望できる。

  • サクレクール寺院2

    階段でのコンサート。右のおばさんのダンスが迫力。

  • サクレクール寺院3

    パリを眺めながら音楽を聴き入る人々。青い空に向かってそそり立つ寺院の美しさは格別。

 サクレ・クール寺院の歴史を少し・・・

サクレクール寺院のファサード 1876年着工、1919年に完成。と比較的歴史は浅い。1870年に普仏戦争に敗れた後、さらにパリ・コミューンの騒乱にあい、フランスは病んでた。戦争とコミューンの犠牲者を悼むために造られたのがこの寺院で、フランスの未来をキリストの聖なる御心で捧げよう、ということで「サクレ(聖なる)・クール(御心)」と名付けられた。ファサードの真ん中上にある像はキリスト。左右の騎馬像は、右がジャンヌダルクで左が聖王ルイ。ブロンズ製の正面扉にはキリストの生涯が描かれている。内部は天井ドームのモザイク画、そしてステンドグラスは必見。ドームに登るには1度外に出て、寺院左の階段を下りる。風がびゅんびゅん吹き寒いので、秋冬は避けたいが。強行する場合は防寒着は必須です。頂上からはパリの街並みが50km先まで見えると聞けば、登らない手もない・・・。

 そっと教えたいお話...サン・クリストフ

6区に「奇跡のメダル教会」があり、そこに売っているマリア様のメダルを持つと願いが叶うということで日本人観光客に人気がありますが、私の一押しはサクレ・クール寺院の売店で売っている「サン・クリストフ」のメダルです。
サン・クリストフ(英語ではセント・クリファー)のメダルのモチーフは、サン・クリストフが幼子のイエスを肩に乗せてヨルダン川を渡るというものです。その様子からこれは旅行者、輸送関連の仕事に付く人たちの守護神として欧米では知られています。

私も仕事柄、いろいろな乗り物に乗って旅行をします。ですから私の守護神もこれとして、サン・クリストフのメダルのペンダントをいつも身につけています。こちらの守護神は上記のそれと違い、「願いが叶う」というのではないようですが、旅の途中でみまうトラブル、例えばバッグの置き忘れ、引ったくりなどから守ってくれる、たいした事故にならずに済んでくれる、などの奇跡が私の上には何度も起こりました。
サン・クリストフに助けられたエピソードは幾つもありますが、最近のところでは、このペンダントが入っているお財布をサンドイッチ屋に忘れ、気づいてすぐに戻ったが財布はすでに形跡がなくいずこへ??お財布の中には現金はほとんど入っていないものの、フランスの健康保険証やフランスと日本のクレジットカードやキャッシュカード、会社の入館証など重要で一度なくすと再発行にかなりの時間を要する面倒なもの、そしてサン・クリストフのペンダントが入っていました。翌日から再発行の手続きに時間をとられ、ヒーヒー泣くこと2週間。こんなに時間がたった時に、いきなり警察から電話が。。。。私のお財布が紛失届けのオフィスにあるから取りに来い。と・・・・。
このような奇跡は他にもあり、メトロの車内に家の鍵とサン・クリストフのペンダントが入っているバッグを忘れたときも、数時間後にメトロからバッグを預かっているとの連絡が。メトロ最終電車で最寄り駅で下車、改札を出遅れて出口のシャッターがすべて閉められて構内に閉じ込められ、警察に保護されたときも・・・やっぱり私の首にはサン・クリストフのペンダントが掛けられていました。
6区の「奇跡のメダル」の効果は知りませんが、サン・クリストフの効果については熟知。モンマルトルでサクレ・クール寺院に寄るならば、ぜひこちらの売店でサン・クリストフのメダルを入手すべし!!ペンダントやキーホルダーにして身につけていたら、事故に見まわった時、たいしたことにならないで済む、そんな気がしませんか。

 テルトル広場

テルトル広場 次に向かうのは画家が多く集まるテルトル広場。寺院を出たところで右手に延びる道を歩く。なだらかな坂道を登ると、ムンムンと画家たちの熱意が漂う広場に出る。「絵描きます」と画家たちが近づいてきて、ハイ、イイエも言わないうちに描き始める画家もいるので注意。高いお金を請求するうえに、絵のタッチが自分の好みでないことも多々ある。「描いてもらう」決意であれば、じっくり好みの画家を探して、値段の交渉をすることをオススメする。

ここは昔から画家が集まった広場。当時のモンマルトルを描いたユトリロ、ゴッホやルノワールといった画家達を思いながらのんびり散策するのもよい。広場はカフェやレストラン、お土産物やに囲まれ、この界隈で最も賑わう場所だ。

  • テルトル広場2

    カフェのテラスで絵を描いてもらっているカップルに遭遇。

  • テルトル広場3

    さっと描く画家の後ろで「似てる、似てない」と評しながら楽しむ観衆。

  • テルトル広場4

    テルトル広場で見つけた風刺画。社会批判を描いた風刺画はパリっぽくて好み。

モンマルトル初心者の「時間のない人」の最も最短見学コースはこの2ヶ所だろう。

 なので、ここで一度ランチタイムを。

サクレクール寺院近くのレストラン モンマルトルは有名な観光地だからテルトル広場などにカフェやレストランが集中して、その様子はまるで南仏。活気があるのは良いけれど、もうちょっと静かに食事をしたいと思っていたら、ともこさんが案内してくれたのはサクレ・クール寺院の脇にあるこのお店。

まず店の外観からするとカラフルでポップな感じですが、中に入ると歴史的建造物なのか天井にフレスコ画のようなものが。そしてメニューがわら半紙のような紙で、これまたレトロ。テルトル広場のお店とはまた一味違う、観光客がイメージするパリの良さがここにある。

サクレクール寺院近くのレストラン2 さて、ここのお料理は??カジュアルなお店なのに、結構手間隙かけて丁寧な料理をしていることに感心。凝った料理というわけではなく、シンプルな料理だけど焼き方とかソースの味付けとか微妙なところに丁寧さを感じるお店です。そのせいでしょうか、店内も外のテラス席も人でいっぱいでしたから。
私が注文したのは南仏風のピーマンのファルシー。南仏はカマルグ地方まで行くとフランスでも唯一稲作をしているので、ご飯を使った料理も多く、ファルシーは南仏の郷土料理の一つ。
ほどよく蒸されたご飯を黄色パプリカの甘味のあるソースとトマトの酸味のあるソースで頂く、そしてなんとこの料理は菜食者向けで豆腐のあらびきが入っています。見かけはボリュームありですが、食感はかなり軽いのでランチでもそれほど重さを感じません。

サクレクール寺院近くのレストラン3 ともこさんが注文したのは巨大なキッシュ。お値段からはちょっと考えきれないくらいの大きさ。こんなに大きくして採算取れるの??と老婆心が。キッシュをこれだけふっくらさせるのは卵をふんだんに使っているということなのですが、黄身と白身を分けて、白身で堅めのメレンゲを作るというところにコツがあります。これだけでもかなりの重労働なんですが、これには更にオーヴェルニュ地方の代表的なブルーチーズ、ブルードヴェルニュとイゼール県のくるみ、そして干し葡萄が入っているというちょっと他では味わえないオリジナルのキッシュ。料金もかなりお手ごろ、私のファルシーが12,80ユーロ、ともこさんのキッシュはボリュームあるサラダ付きで7,50ユーロ。これだけ手間隙かけてるのにね。
ワインはコート・デュ・ローヌを注文。このワインはシャンパン同様に何にでも合うワインなので、迷ったらこれに行くべしというタイプのワイン。しかしながら、このお店のワインは味がしっかりしていてコクもあり、嬉しい驚きとなりました。
私達が注文したのはDomaine de la Pinedeの2004年のCote du Rhoneです。14,80ユーロというのにも感嘆。

  • サクレクール寺院近くのレストラン4

      

  • コート・デュ・ローヌのワイン

      

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モンマルトル前編マップ

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