パリプチ歩記

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  • パリは「街自体が美術館」という言葉をモットーに、
    パリ在住の・・・
    街歩きに余念のない「パリが恋人」のともこと
      食に恐ろしく敏感な舌を持つ「歩くグルメ本」のちあき

         ・・・この2人がみなさんにパリの魅力をご紹介!!

      「地区別パリの街歩き術」として、短い滞在を効率よく回る
      べく、とっておきの散策モデルを提案しま~す。

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 6回目 モンマルトル 後編

パリ市内 さてさて、サクレ・クール寺院もテルトル広場も訪れ、美味しい食事も堪能したことだし、もっともっとモンマルトルを知りた~い!!ということで、散策を続けよう。

ラ・ボンヌ・フランケット 広場に面した土産物屋通りを、寺院を背に歩く。右手角には、シャンソンが聞けるレストラン『ル・コンシュラ』、『ラ・ボンヌ・フランケット』がある。もろもろ観光客向け。その角を右手に曲がる。寺院や広場の辺りが、この丘で最も高いところにあるため、後は下り坂。ここからは、石畳のなだらかな坂に古めかしい街灯が見られ、モンマルトルらしい風景が美しい!!右手には、パリで唯一の小さな小さなブドウ畑が広がる。『ル・クロ・ド・モンマルトル』という銘柄のワインは、年間たった1000本というから、まさに幻のワイン。10月の2週目に訪れたなら、ここで開催される収穫祭をぜひ覗いてほしい。フランス各地から集まった銘柄の試飲もあれば、カラフルな衣装に身を纏ったワインの作り手にとるパレードも楽しめる。
この畑の一画にあるモンマルトル博物館は、17世紀の俳優"ロッシモンド"の別荘だったものらしい。いくらフランス映画が好きとはいえ、「誰?この人?」と思うのも仕方がない。17世紀に遡れば、モリエールだろう。確かに、コメディ・フランセーズの最初の団員の一人だったらしいし、俳優だけでなく劇作家でもあった人物だとわかった。その後はカフェとなり、さらに画家など芸術家のアトリエとして使われていたのは19世紀のこと。ヴァラドンが息子ユトリロと住んでいたと聞けば、モンマルトルの芸術文化の濃度たっぷりな場所として訪れない手はない。この博物館前の路地もなんと絵になることか。

ラパン・アジル かつての酒場で、現在は観光客向けのシャンソニエとはいえ、ちあきさんも私も大好きな『ラパン・アジル』はブドウ畑の北にぽつんと佇む。無名時代のユトリロやピカソも通った店。アンドレ・ジルが描いた機敏なウサギ(ラパン・アジル)が目印。数人の歌手によるシャンソンはエディット・ピアフやブラッサンスなどのクラシックからオリジナル曲まで夜9時から夜中の2時までたっぷりと満喫できる。ただし、シャンソン初心者には開始時間に行くことをお勧めしたい。というのも、夜も更けると歌もだんだんマニアックになってくるためだ。だが、フランスのお上りさんたちが歌手と一緒に声を揃えて歌う姿を見るのもなかなかのものなので、夜更かし覚悟でしっかり滞在するのもいいだろう。客が多すぎるとうんざりする店が多い中、ここは多ければ多いほど盛り上がり、観客みんなが右に左に体をゆすって手をたたきながらシャンソンに聴き入る姿を見ると心が温まるものだ。なので、パリ在住の日本人には縁遠い、この観光名所を私たちは愛するのだ。
あら、店を出るともう真夜中。とうことで、順番の修正を。。この店はモンマルトル散策の最後に訪れましょう。ココは「食事なしのドリンクのみ。」なので、事前に胃袋を落ち着かせてから行くことにしよう。

石畳を挟んだ高級住宅街 また「ラ・ボンヌ・フランケット」まで坂を上り、そのまま坂を南下しよう。石畳の坂道は歩行に困難とはいえ、なんと風情があるものだろうか。としみじみ思う。もっとも憧れるこの地区にて、一度いい感じのアパルトマンを見つけたことがある。小さなアパルトマンだったけれど、最上階の部屋の窓からサクレ・クール寺院が見える最高の立地条件だった。もちろん、坂や階段の上り下りは必須。それでも、モンマルトルに住みたい!と思ったものだが、結果的には現在のレピュブリック、サン・マルタン運河周辺に落ち着いてしまった。
さ、ちょっとした広場「エミール・グードー」には、アトリエ洗濯船Le Bateau-Lavoirがある。多くの画家に愛されたモンマルトル…ここは、ピカソ、ドガ、マティス、モディリアニといった絵画の巨匠の住居兼共同アトリエだった。『アヴィニョンの娘たち』というピカソの有名な作品もこの場所にて制作された。

  • ホテル・ティモテル周辺

    中央奥がアトリエ洗濯船。左のホテル、ティモテルは1994年エリックロメールの映画『パリのランデブー』で使われていた。

  • エミール・グードー広場前

    エミール・グードー広場前で遊ぶ子供たち

  • モンマルトル界隈

     

 ちょっと食情報

技魯技魯のお料理 今、パリ在住のグルメな日本人や日本通のパリジャンの間で話題の『技魯技魯 ギロギロ』。京都にあった本店が移転したものだが、オペラの日本食街を避け、このエミール・グードー広場の近くにひっそりと佇む。ここはカウンターがお勧め。フランス人に負けないおしゃべりな店主、枝國さんと対面しながら楽しい食事を。ちなみに予約は7時と9時30分の2回。7時なら日本人のお客さんが多いが、9時30分はフランス人のお客さんがほとんどだそうだ。確かに、食文化の違いで、7時ならフランス人はカフェでアペリティフのお時間・・・だもの。洒落た懐石が46ユーロと結構リーズナブルなお値段で味わえ、モンマルトルの下町といった立地条件のよさも加わり、魅力的なアドレスだ。

技魯技魯の店主 枝國氏 『技魯技魯(ギロギロ)』
住所 8 rue Garreau 75018 Paris
電話 01.42.54.23.92
*予約はお早めに。

 アベス通り

アベス通りrue des Abbessesは、モンマルトルでいう繁華街。業界人が集まるようなカフェSancerreから、お土産で一押しの店は、ets Lion(住所 7 rue des Abbesses)で、エッフェル塔型のパスタやエッフェル塔の金太郎飴など、有名すぎて土産には避けたい「エッフェル塔」を主張しながらも粋な食品が見つかる。ほか、個性的なブティックが立ち並ぶ。

  • メトロ・アベス駅

    お馴染みギマールによるアール・ヌーヴォーのメトロ駅。ガラスの屋根付きは今となっては貴重な作品。

  • Caffe Sancerre

    簡単に食事を済ませるにもいい、地元で人気の「サンセール」

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 『アメリ』のカフェのあるルビック通り

カフェ・ド・ムーラン 次は数年前に一世を風靡した映画『アメリ』に登場した2件の名店を紹介しよう。アメリが働いているカフェ『カフェ・デ・ドゥ・ムーラン』は、市場通りとなるルピック通りrue Lepicの中程の角に見つかる。庶民的で活気ある通りにある、これまた庶民的な普通のカフェだが、映画公開後、ちょっと小綺麗になったような…?!映画ポスターまで飾られ、店サイドも意識たっぷり。せっかく訪れたなら映画で見られるクレーム・ブリュレを注文しよう。
そういえば、サン・マルタン運河の人気カフェでギャルソンをしていた私の友人。この店に移った後、顔を見ていないけれども楽しくがんばっているだろうか。

映画アメリで登場したスーパー 鮮やかな色合いが印象的な食材屋、メゾン・コリニャンもカフェから近い。いじわる主人のコリニャンと、いつもからかわれていた小心のルシアンの2人の店員には似合わないほどチャーミングな店に映っている。スーパーとは異なるエピスリーEpicerieと称されるこの手の店はパリに多く点在するが、ほとんどはアラブ人が経営し、夜遅くまで、また日曜もオープンする店が多く、スーパーよりも値段は高かったりするが、「どうしても必要(といってもワインとおつまみ。というのが常)」な時にSOSな一軒。ただし、日本のコンビニと同格に扱うことは不可能だ。理由は「値段」と「品揃え」と「鮮度」のバランスが日本のコンビニよりも劣っているため。そして、この店メゾン・コリニャンもすっかり観光地のひとつとして存在している。

  • ルピック通りのお菓子屋さん

    市場通りといわれるルピック通りのかわいいお菓子屋さん

  • ル・ビック通りのお花屋さん

    バラの専門店『オ・ノム・ド・ラ・ローズ』もある

  • ル・ビック通りの魚屋さん

    演出も見事な魚屋にて。子供も興味津々

 クリシー大通り

ムーラン・ルージュ さて、夜も更け……、フレンチ・カンカンで有名なムーラン・ルージュ(赤い風車)のある『クリシー大通り』といえば、セックス・ショップやストリップ劇場が立ち並ぶことで知られるのでご注意を。健全にスペクタクルを鑑賞するならやっぱりムーラン・ルージュだが、この大通りに風変わりな博物館があることをお教えしよう。
朝2時までオープンしている『エロチズム博物館』。この界隈にふさわしいとはいえ、なかなかグロかったりする。フランスだけでなく、長い歴史上における世界のエロチックなアートが一堂に介するのだ。行く時間帯、一緒に行く相手、人類創造、と考えるか、快楽とみるか、各アート作品の捉え方により、、思うところも異なるはず。
『エロチズム博物館(Musee de l'Erotisme)』
住所 20 bd. de Clichy 75018 Paris
開館時間 am10:00~am2:00
休み なし

  • エロチズム博物館

    逃してしまいそうな間口だが、目印は意味深な彫刻の置物  

  • クリシー大通り

    こんなワイン・オープナーは、かわいいが…。あとは訪れてからのお楽しみ  

  • クリシー大通り2

    昼間歩いても「 妖し気」なクリシー大通り。夜ならばましてご注意を

 追加情報

モンマルトルで最も有名なパティスリー
自称「お菓子評論家」の甘党さんに紹介したい店は、モンマルトルの丘の裏側に佇む『アルノー・ラーエル』。フォーションかtら独立し、2007年にフランス最優秀職人M.O.Fに選ばれたラーエルの店。と聞けば喉が鳴るだろう。
『アルノー・ラーエル(Arnaud Larher)』
住所 53 rue Caulaincourt 75018 Paris

天使の店「ラ・ブティック・デサンジュ」 天使の店
神の使いとされる天使。愛らしい天使たちは、ここでも人気の的。同じく天使を愛する私のお勧めの店は「パリにある唯一の天使専門店」とされ、その名も『ラ・ブティック・デザンジュ(天使の店)』。小さな店にいっぱいの天使が舞う。
『ラ・ブティック・デザンジュ(La Boutique des Anges)』
住所 2 rue Yvonne le Tac 75018 Paris

モンマルトル後編マップ

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