TEL: 06-6374-0675;営業時間 月~金9:30 ~18:00|土9:30 ~12:30
パリは「街自体が美術館」という言葉をモットーに、
パリ在住の・・・
街歩きに余念のない「パリが恋人」のともこと
食に恐ろしく敏感な舌を持つ「歩くグルメ本」のちあき
・・・この2人がみなさんにパリの魅力をご紹介!!
「地区別パリの街歩き術」として、短い滞在を効率よく回る
べく、とっておきの散策モデルを提案しま~す。
セピア色で表現できるようなパリのノスタルジックさが大好きな私は、ここ数年のあまりに著しいパリの変貌に爆発気味。田舎っぽいオヤジが通うような味のある古い安食堂やカフェが次々閉店し、モダン(=シンプル=没個性 とちょっと偏見でごめんなさい)な店が続々誕生し、同時に親父たちも消えてしまっているのは寂しい。私にとって、オヤジとしなびたカフェこそ、パリの風物詩なのに…。
そんな私が今回ご案内するのは、19世紀前後に多く作られたパッサージュの数々。パリでセピア名光景に出会える優れた名所だ。ここでいうパッサージュとはアーケード街のことをいい、道の両サイドはショップやレストランが立ち並ぶ。「雨の日のショッピングに最適」、なんて紹介の仕方は避けましょう。だって、ガラス窓から光が差し込み、キラキラ綺麗な天気の日だって訪れてほしいから。ガラスの天井、床のモザイク、ちょっとしたデコレーションにも発見があり、心躍らされるだけに一見の価値あり!!
ところで、パッサージュ散策を始めると気づくことがある…「どうしてセーヌ右岸にパッサージュが多いのだろう?!」。これは、パッサージュ建設が産業革命と結びつくためで、左岸は学問、右岸は経済、の言葉通り商業が盛んになると、「グラン・ブルヴァール(大通り)」を中心に商店街が造られるようになったから。さらに、当時のパリの街にはまともな道もなく、埃や塵などで衛生的にもひどく、こんなガラス天井のパッサージュは、安心して散策やショッピングのできる格好の場所だったという。
パッサージュと名の付く通りは多々あるが、ここでは有名で訪れる価値の高いところをご紹介します。前半は「優雅なパッサージュ」そして後半は「雑多なパッサージュ」とはいえ、どちらもパリを象徴する魅力的なパッサージュであることを特筆したい。
パッサージュ・ヴェロ・ドダ
個人的にはここがとても好き。市松模様の床がなんともノスタルジック!そのうえ、店の外観は木造で統一されていて、この色のバランスがもうレトロそのもの。少々「暗い」イメージがあろうと、私の心をがしっと掴む。さらに、ヴェロさんとドダさんという2人の豚肉屋が造ったパッサージュと聞けば、この骨董的な美しいパッサージュと、生々しい肉屋という職業とのミスマッチ差がドキドキさせる。以前は、アンティークドールの店、名刺やカードを刷る活版印刷業者などがあったが、現在は、この道一筋といった感じのまじめなご夫婦がまかなう伝統的なフレンチ料理屋「ヴェロ・ドダ」、こじんまりとしたでもいい色をした楽器が陳列された楽器屋などの数件を除くと、他は日本でも有名な化粧品メーカー、バイ・テリー、そしてモダンな家具屋、靴屋と新しい店が連なっている。レストランで食事をするなら、パッサージュ内に並ぶテラス席もいい。シーンとした静寂さは物寂しくさえ感じ、外界から閉ざされたような異空間が、過ぎ去った時間を蘇らせる。もしあなたが、私のようにセピアカラーの巴里にあこがれるのであれば、ぜひぜひ訪れてほしいパッサージュ。
薄暗さが魅力
レトロムードたっぷりなレストランでフレンチを
ギャラリー・ヴィヴィエンヌ
パッサージュの中でも「優雅さ」はここが一番。ヴェネチアン・スタイルの歩道のタイルにしても、連なるブティックにしても、どこか洒落たパリを意識させられる。老舗のワイン屋ルグラン・フィーユ・エ・フィスでは、日本人の女性ソムリエ佐藤さんにアドバイスを求めるのもよいだろう。ワインバーも併設しているため、パッサージュに差し込む陽光を感じながら、美味しいワインを飲んで、頬をワイン色に染めてほしい。さらに、パリでも評判のサロン・ド・テ「ア・プリオリ・テ」のテラス席に座って、ランチか午後のティータイムを味わいながら、パッサージュのデコレーションを存分に観察してほしい。人気の古着屋、日本を代表するデザイナー「Yuki Torii」と話題性も十分。奥の階段を下りたところには、これまたいい感じの古本屋が…。
ゴージャスさが伝わる門構え
ガラス屋根から燦々と陽光が差し込む
パッサージュ内のサロン・ド・テ「ア・プリオリ・テ」
パッサージュ・デ・パノラマ
ジャン=ポール・ベルモンドのお兄さんが経営する劇場、「ヴァリエテ」に隣接するパッサージュ。ここは雑多な要素を含みながらも歴史の醍醐味を感じさせてくれる空間造り。1本道ではなく、途中から枝分かれしていて、その辺りは劇場の楽屋口があったり、著名な俳優さんの写真がベタベタと壁にかけられたレストランがある。古い切手屋やハガキ屋が多いのが特徴だけれども、ここにもまたおすすめのサロン・ド・テが。いかにも手作りといった感じの素朴でかつダイナミックなタルトが揃い、フランス伝統家庭菓子に出会えるのが「ラ・ルヴル・ア・カネル」だ。
古切手屋、レター屋などが連なる活気あるパッサージュ
サロン・ド・テ「ラルブル・ア・カルネ」ではランチもおすすめ
さ、ここでランチタイム!!
パリのパッサージュにあるレストランで食事をするということは、商店街の定食屋の常連に囲まれるようなもの。そこには地元の息吹が感じられる最もホットでスリリングな場所だ。
特にパリのそれは、常連の中に意外な人がいるから余計面白い。また、このような場所は常連客で成り立っているから、彼らの味覚を侮ってはいけない。飽きさせず、満足させる、それは彼らの懐についても同じ事。そんな点からも、パッサージュにあるお店の中で食事をするということに興味が尽きません。
例えば、今回パリが恋人のともこさんと行った店「レストラン・デ・ヴァリエ」。店名を直訳すると「色々な種類のレストラン」つまり日本なら「いろは食堂」とハイカラな名前が付くのでしょう。このような店はパリが恋人と呼べるぐらいにならないとちょっと入りにくい、「常連のたまり場」的な雰囲気があります。それは、東京の門前仲町や高円寺の商店街の並ぶ「定食屋」がそのままパリにあるようなものですから。
パリはまだ「訪問中」の私にとってみれば、ここは「ドギマギ、お目目キョロキョロ」の場所。入りたいような、しり込みしちゃうような。。。。そんな感じ。
この店、さすが商店街の一軒だわ。と思わせたのは入り口にあるたくさんのステッカー。これは会社勤務の人ならだいたい持ってる「昼食クーポン」加盟店ステッカー。という事はここは、ご近所のOLさんやサラリーマンが立ち寄るお店ということ。フランスの人気ガイド本にも掲載されていることもステッカーでわかります。
店内はレトロなポスターがたくさん貼っていて、いかにもパリの下町を印象付けます。メニューは全て手書きで黒板に。内容もそれほど凝ったものではなく、フランス人ならよく食べるものばかり。つまり一般家庭の食事がそのままテーブルに出てきたようなもの、でも違うのはやっぱりシェフが作るから美味しい!お母ちゃんの手料理にちょっとプロの味付けと盛り付けをした、そして庶民でも口にできる値段。というところかしら。
前菜に田舎風パテとニシンのオイル漬けを注文。魚のほうはジャガイモがふかふかでした。通常なら魚もジャガイモも冷製なんですけど…まぁいっか。パテはやっぱり自家製。つなぎが小麦粉ではないので、しっかりとした味わいが感じられます。ねっとりしたところがワインによく合うこと。メインにはそれぞれ本日のお勧めであるブランケット・ド・ヴォー(仔牛のクリーム煮)とプレット・バスケーズ(バスク地方風 雛鳥のトマト煮込み)をいただきました。ブランケットは本当に田舎のお母ちゃんの味。バスケーズはバスク料理というだけあって、エスプレット(バスク地方独特の赤胡椒)が利いていてこれまたワインによく合う。
私たちは二人とも赤ワイン派なので、注文した料理に関係なく赤ワイをいただきましたが、ニシンのオイル漬けとブランケット・ド・ヴォーの組み合わせには、やっぱり少し重めの白ワイン、辛口なんだけどずっしりとした白ワイン、例えばシャトー・ヌフ・デュ・パップや、南仏のシャルドネなんかの方が合うような気がしました。今回私達が注文したワインはボーム・ド・ヴニーズBeaume de Veniseという場所のワインでしたが、ここは白の甘口ワインが有名で、食前酒にキリリと冷やしたものがこれからの季節に合うワイン、として私は知っていたのですが、このお店ではこの地方の赤ワインを出してくれました。とても珍しいようで、興味津々で飲んでみましたが、甘口白ワインとは対極にあるふくよかな渋みのある赤で、食事にとてもよく合いました。
店内もワインカラーで彩られる
フランス家庭料理の代表の一つ
パリにいながらバスク地方へ味の逃避行
パッサージュ・ジュフロワ
ここも私のお気に入りのパッサージュの一つ。私のノスタルジック論に共通するテーマのひとつ…やっぱり歩道が「市松模様」。ここのパッサージュには1つの博物館、2つのホテルがあるのも風変わり。1882年開業という「ろう人形館」。子供のころ、東京タワー内のろう人形館を訪れて以来縁がないけれども、いつかは入ってみようと思い始めている。ホテルの一つは音楽家、葉加瀬太郎さんがパリの常宿としているらしいメルキュール系の大型ホテル。もう1件は、プチホテルといわれるこじんまりとした総部屋数36室のホテル。その名もショパン。作曲家ショパンが近くに住んでいたことが名前の由来だと聞く。大通りからアクセスすると、田舎風のインテリアや料理器具の揃う店から老舗のサロン・ド・テ、正面奥にはホテル・ショパン、右隣にはろう人形館の出口、その後左に折れて買い弾を数段下がる。この一角がまたいい。大好きな映画専門店「シネ・ドック」に哀愁漂う書店がある。絵になるパッサージュのひとつ。
ホテル前を左。階段を下りると「シネ・ドック」
値引きされた本がずらりと並ぶ
ろう人形館。世界の有名人に会える?!
パッサージュ・ショワズール
オペラ大通りから入ると、まず左手に京子食品店が目に入るだろう。そのまままっすぐ進むと同じ並びにパッサージュ・ショワズールの入口が。ここは200mほどの1本道だが、比較的庶民的で、日本の商店街を彷彿させるようなパッサージュ。特徴のない小さな店やレストランが多数連なる…のが特徴だ。
が、「日本人街」と言われるオペラに位置するだけに、日仏カップルが経営するインターネットカフェ、カリ&テレマシオンのほか和食屋「ももの木」があるので、必要があればぜひご利用ください!
庶民的な雰囲気が漂う
パッサージュ内の小さな和食屋さん
玩具屋の前にて、可愛さに一目惚れ。でも、日本にもって帰るのは困難?!
パッサージュ・デ・プランス
窓からの陽光の差し込む美しさを存分にさせるパッサージュ。どこのパッサージュも見事なシンメトリーを見せてくれるが、モダンなビルの間に1995年に再建されたこのパッサージュは、まさにそのシンメトリーの美を主張している。そう感じさせるのは天井装飾の細かいモチーフであり、ずらりと並ぶランプ、これまた細か目のの床タイルだろう。改装後は、玩具屋が連なるチルドレン・スペースに。子供連れの家族にはもちろん、子供連れでなくともぜひ足を運んでほしい。最初の建設当時を意識したようなデザインは出来もよく、新しいって確かに気持ちのよいものだと感じた。やはり「古き」を求める私としては、改装前がどのようなものだったのか、まったく知らないのは悔やまれる。
再建された新しいパッサージュ
フランスの玩具に触れるならココ。玩具のワンダーランド
トロトロのゼラチンで肌を綺麗にするのよ?!